会長挨拶

第40回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会開催にあたって

第40回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会
会長 大須賀 穣
東京大学大学院医学系研究科 産婦人科学講座 教授
第40回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会 会長

この度、平成31(2019)年1月19日(土)より2日間、第40回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会を東京の虎ノ門ヒルズフォーラムで開催いたします。今回の学術講演会は第40回の節目です。40年前の子宮内膜症がまだ比較的少なかった時代に本学会を立ち上げられた先人に思いをはせて、心よりの敬意と感謝を込めて今回の学会を担当させていただきます。

エンドメトリオーシスはいまや産婦人科診療において最もよく遭遇する疾患です。従来、本疾患は疼痛と不妊、ときに卵巣がんを引き起こす疾患として注目されてきました。しかしながら、近年の研究の進歩により本疾患と妊娠合併症、生活習慣病などとの関係が明らかにされつつあります。まさに本疾患は女性の一生の健康に関連する疾患として重要性を増しています。言い換えれば、これらの多様な症状や合併症について十分な理解なくして子宮内膜症は管理できない時代に入りました。また、基礎的分野では病因・病態に関して次々と新たな因子が明らかになるとともに、ゲノム、エピゲノムに関する研究も大きな展開を迎えています。今回の学術講演会はテーマを「子宮内膜症と女性の健康 -多彩な視座から探求する-」としました。ますます管理が複雑かつ困難にみえる子宮内膜症を多彩な視座から探求することにより、すこしでも光明を見出したいという願いを込めました。

シンポジウムとして最新の病因・病態に関する知見、また、近年話題となっている妊娠との関連を取り上げました。ワークショップとしては若年期・閉経移行期の取り扱い、不妊症の管理、困難症例に対する手術を取り上げました。いずれも現在の日常臨床で直面することが増え、問題となってきている事項であると考えています。また、子宮内膜症は先進国、発展途上国を問わず世界中で重要視されています。我が国の産婦人科のグローバル化も考慮し、本学会ではアジア、アメリカ、ヨーロッパから著名な先生方をお招きして、国際的な視野からの討論も行います。国内外すべてのセッションにおいて最新の成果を発表していただき、皆様の叡智を結集していただくことにより、エンドメトリオーシスの診療・研究にブレークスルーをもたらしていただける学会になると期待しております。是非ともおひとりでも多くの先生方に参加していただき本会を盛り上げてくださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。